GEMFOREX(Galaxy DAO)
GEMFOREXは2023年5月27日に「M&Aによる事業継承の協議開始」を発表後、5月31日に一時サービス停止となりました。それから協議の結果、債務(出金遅延分)の継承・各種条件・買収金額で合意となり、8月1日にGalaxy DAOへ事業譲渡されたことになっていますが、8月15日公開のホワイトペーパーV1にて出金は行わず、その分独自トークン「GBOND」を発行すると発表されました。10月31日公開のホワイトペーパーV2でも大まかな内容は変わらず、これまでの経緯を踏まえれば出金される期待値は極めて低いと言わざるを得ません・・・。
GalaxyDAOやM&A事業継承の協議、出金遅延等について詳しくは下記をご覧ください。
GEMFOREX(ゲムフォレックス)のゼロカットの仕様が変更(2023年1月9日~)されるのに伴い、そもそも海外FXのゼロカットとは何?というところからゼロカットの頻度・タイミングの変更の目的・考えられるユーザーへの影響等についてわかりやすく解説していきます。
尚、本記事に関連する内容として、GEMFOREXの規約違反者への対応厳格化・ボーナスの仕組み・ロット&証拠金計算ツールに関しては下記の記事をご覧ください。
海外FXのゼロカットとは?
ゼロカットとは?ロスカットとの違いは?
口座残高がマイナス(入金額以上の損失)になってしまった場合でも、少し待てばFX業者側が負担して0円にリセットしてくれる仕組みをゼロカットと呼びます。
よく「海外FXの強制ロスカット=ゼロカット」だと誤認されている方がいらっしゃいますが(私にもかつて誤認してた時代がありましたw)、強制ロスカットはあくまで強制ロスカット(GEMFOREXなら証拠金維持率20%を割ったら大きいロットのポジションから順々に強制決済される仕組み)であり、口座残高をマイナスから0円にリセットするゼロカットとは別の意味なのでご注意ください。
尚、GEMFOREX公式サイトでは、損切りレベル(自動ロスカット)について下記のように定義されています。
損切りレベル
損切りレベル(自動ロスカット)とは、お客様の安全を守るため、未決済のポジションが自動的にクローズとなるレベルとなります。当社では、証拠金維持率が20%以下になった場合に執行をさせて頂いております。
証拠金維持率が50%を下回りましたらマージンコールをかけさせて頂き、20%を下回った時点で強制ロスカットとさせて頂きます。
引用元:GEMFOREX公式サイト「GEMFOREXの執行(約定)について」
国内FXのような追証リスクがない!
例えば、口座へ1万円入金した場合、通常の相場であればどのFX業者でもマイナスになる前に強制ロスカットされる為、基本的に1万円以上の損失が出ることはほぼありません。しかし、窓開け・重要指標やイベント等による急変動によって途中で約定できずにマイナスになることは起こりえますし、国内FX業者だと口座残高がマイナスになったらそのマイナス分の追証(おいしょう・追加証拠金)を請求されるリスクを伴います。
実際に、スイスフランショック(2015年1月15日)ではFX業者に多額の追証を請求されて地獄を見たトレーダーが大勢いますし、このような事態になった場合にFX業者が救済措置を出す場合もあるものの、立場の弱いトレーダーはそのまま泣き寝入りせざるを得ないことも多いです。
この追証という仕組みが国内FX業者の大きなデメリットなのですが、国内FX業者は法律上ゼロカットを行うことができません。
(禁止行為)
第三十八条の二二 顧客を勧誘するに際し、顧客に対して、損失の全部又は一部を補てんする旨を約束する行為
引用元:e-gov 法令検索:金融商品取引法
日本の金融商品取引法では、顧客の利益よりもFX業者の利益が優先されるようになっています。
そこで、仮に口座残高がマイナスになっても追証が発生せず、マイナス分を負担して0円に戻してくれる海外FX業者のゼロカットがユーザーファーストですごくいい仕組みだということで注目されるわけですね。
必要最小限入金し、窓開け・重要指標やイベント等による急変動を狙ってギャンブル的にポジションを保有した結果、大逆行して約定し、口座残高が大幅マイナスになってもゼロカットされる為、入金額以上の損失を被る心配はありません(※)。
尚、普通に入金して普通に取引する分にはゼロカットされるケースは殆どないのですが、海外FXだとボーナスを使ってレバレッジ1,000倍等のハイレバで取引を行う場合にゼロカットは頻繁に起こりえます。
保有したポジションが逆行して口座残高がマイナスになったとしても、暫く時間を置いたらボーナスで相殺されて0円にリセットされる仕組みです。海外FXのボーナス+ハイレバでリスクに晒す資金を最小限にした上で、ゼロカット前提の取引で安心して攻めることができるとも言えますよね。
罠・デメリットは?
海外FX業者が日本の金融ライセンスを持っていないことを除けば、ゼロカットはいいこと尽くしのようにも見えますが、罠やデメリットはないのでしょうか?
ゼロカットはトレーダーから見ればとても便利な仕組みであると同時に、重要指標等で急変動が起こりそうな時に別口座・別業者で両建てをすることで簡単に利益を出しやすい(言い方を変えれば悪用しやすい)という特徴もあるのですが、これはどこの海外FX業者でも規約で禁止されているという点には要注意です。
また、口座残高がマイナスになった後、0円にリセット(ゼロカット)されるのを確認する前に追加で入金してしまうとゼロカットされずにマイナス分の損失を被る可能性(※)もありうる為、追加入金はちゃんとゼロカットされたのを確認してから行うのが無難です。
GEMFOREXのゼロカットはいつ?他社比較・仕様変更の目的は?
ゼロカット処理時間が60分1回⇒1日1回に変更(2023年1月9日~)
2023年1月9日からGEMFOREX(ゲムフォレックス)のゼロカットの処理時間・タイミングが変更されるのですが、従来(2023年1月8日まで)のゼロカットの処理時間については公式サイトには下記のように記載されています。
安心の0カット(ゼロカット)処理
万が一、証拠金残高(口座残高)がマイナスになってしまった場合、60分以内を目安にボーナス付与分で相殺させて頂くシステムとなっており、ボーナスを受け取っていない方に対しても、60分以内を目安に口座残高を0円にリセットした上で入金額を反映致しますので、追証が発生する事がない為、安心してアクティブなレバレッジ運用を行う事が可能となります。
※ポジションを保有中には、執行されませんので、ご注意お願い致します。
引用元:GEMFOREX公式サイト「GEMFOREXの執行(約定)について」
その他取引状況などから当社が必要と判断した場合、ゼロカット執行までに時間を要する場合がございます。
従来は口座残高がマイナスになった場合、ボーナスの有無に関係なく60分以内に自動的に0円へリセットされる仕組みでした。また、ポジション保有中だとゼロカットされません。
そして、この度GEMFOREXでは、下記のように2023年1月9日からゼロカット処理時間が変更されると告知されました。
ゼロカット処理時間変更のお知らせ
この度、
2023年1月9日(月)より、ゼロカットシステムにおきまして、以下のように仕様変更をさせていただくこととなりました。●2023年1月8日(日)まで
ボジション非保有時、口座残高がマイナスの場合、
60分に一回自動的にゼロカット。ポジション非保有時、口座残高がマイナスの場合、
入金時にゼロカット。
※ポジション保有時における口座残高がマイナスの場合の入金時はゼロカットは発動せず、残高に補填される形となります。●2023年1月9日(月)以降
ボジション非保有時、口座残高がマイナスの場合、
1日に一回ゼロカット。処理時間は、日本時間の6時から7時(サーバータイム GMT+3からGMT+4)になります。
※システム処理の関係上、予定以上に時間を要することがございますので、予めご了承ください。ポジション非保有時、口座残高がマイナスの場合、
引用元:GEMFOREXからのお知らせ「ゼロカット処理時間変更のお知らせ」
入金時にゼロカット。
※ポジション保有時における口座残高がマイナスの場合の入金時はゼロカットは発動せず、残高に補填される形となります。
口座残高マイナスの自動的なゼロカットが60分以内(60分に1回)だったところが、1日1回(日本時間6~7時)に変更されました。
ポジション非保有時の入金でゼロカットされ、ポジション保有時の入金はゼロカットされない仕組みは変わらないとのことです。
※できれば追加入金する前に、自動的に0円へリセットされたのを目視で確認してからにしたいところですけどねw
ゼロカット処理時間・タイミングの他社比較
参考までに、他社の海外FX業者では自動的にゼロカット処理される時間・タイミングは下記の通りです。
- GEMFOREX:60分1回 ⇒ 1日1回
- XM:明言されていない(数分~数日とまちまち)
- Axiory:24時間以内
- FXGT:約1~2時間程度
- TitanFX:1日1回
- CXC Markets: 1日1回
- ThreeTrader:1日1回
このように他社と比較してみると、GEMFOREXのゼロカットの頻度が60分1回というのは元々最高レベルだったのようです。多くのFX業者が1日1回のゼロカットシステムを採用してますので、今回の変更で平均レベルに合わせたとも見て取れるかと思います。
ゼロカット処理時間変更の目的は?
GEMFOREX側の目的はあくまで推測の域を出ませんが、恐らく2022年12月から実施の規約違反者への対応厳格化が背景としてまず挙げられるのではないかと思われます。
ゼロカット処理する頻度を減らすことで、ゼロカット前提の取引数は減ると思うのですが、第3者名貸しによる両建て等の不正取引をやりにくくするという狙いがあるのではないでしょうか?
また、ゼロカット処理頻度が23分の1に減ることでサーバーへの負荷軽減や、補填額減少による経費削減という経営判断もあるかと思います。
尚、長い目で見れば、恐らくGEMFOREXはボーナス依存体質から少しずつ脱却していきたいと考えているのではないかと思いますが、入金ボーナスの対象口座が1口座のみになったり、3ヵ月の有効期限ができたり等、最近ボーナスの条件がいろいろ変わってきてますが、今回のゼロカット処理時間の変更もその一環ではないでしょうか?
一般ユーザーへの影響はあまりなさそう?
一応ポジション非保有時の入金でゼロカットされるという条件は変わらないので、あまり大きな影響はないかもしれませんね。
※まあ心理的には、目視で自動的にゼロカットされているのを確認してから入金したいところですがw
また、ボーナスを使った取引をしない限り、よっぽどの相場の急変動がない限り、ゼロカットされる可能性はほぼ皆無に近いのですが、既に入金ボーナスの対象口座が1口座のみになり、分散入金して同時に複数口座へボーナス付与させることができなくなっています。1口座の残高がマイナスになったから、別口座でボーナス付きの取引を行うということがやりにくくなってますので(キャンペーン当選毎に別口座へ入金していけばできなくはないですが)、今回ゼロカット処理頻度が1日1回に減ったからと言って特別大きな影響はないのではないでしょうか?
GEMFOREXのお財布口座からの資金移動でゼロカットされるのか問合せてみた結果・・・【2023年1月11日追記】
ちょうどツイッターでご質問頂いていた件ですが、そもそもGEMFOREXの資金移動でマイナス残高がリセット(ゼロカット)されるのかというところから下記の通りコンタクトセンターへ問合せて確認してみました。
先日ゼロカットのルールが一部変更されましたが、以下2点について改めて確認させてください。
①入金したらゼロカット(口座のマイナス分がリセット)されると思うのですが、資金移動でもゼロカットされるのでしょうか?
②お財布口座からの資金移動でゼロカットされるのでしょうか?
ご連絡を頂きありがとうございます。
お問い合わせに関してでございますが、
大変恐れ入りますが、資金移動ではゼロカットは執行されません。
ポジションの非保有時に純粋にご入金の手続きが必要となります。
なお、ご入金を頂く際でございますが
必ず、マイページの保有口座一覧上にて、ポジションが0であるということをご確認の上でお手続きを頂きますようお願い申し上げます。
また、ゼロカットと残高がマイページへ反映されますまでは
ポジションの保有を頂かずご確認いただきますようお願い申し上げます。
そもそもお財布口座関係なく、資金移動ではゼロカットされないとご回答頂きました。ゼロカットさせるには銀行振込等で新たに入金する必要がありますが、ポジション保有中だと入金してもゼロカットされない点にも改めて要注意ですね。
また、マイページ上(保有口座一覧)でゼロカットが反映される前にポジション保有はしないようにとのことです。MT4・MT5口座での反映よりマイページの反映の方が若干遅い場合がありますが、入金してマイナス残高をリセットしてからできるだけ早くポジションを取りたい場合でも、一応マイページで反映されたのを先に確認しておくと間違いないかと思います。
以上、本記事がGEMFOREXのゼロカットについてご理解頂くのに少しでもお役に立っていれば幸いです。
2023年11月9日(木)更新
GEMFOREXは2023年5月27日に「M&Aによる事業継承の協議開始」を発表後、5月31日に一時サービス停止となりました。それから協議の結果、債務(出金遅延分)の継承・各種条件・買収金額で合意となり、8月1日にGalaxy DAOへ事業譲渡されたことになっていますが、8月15日公開のホワイトペーパーV1にて出金は行わず、その分独自トークン「GBOND」を発行すると発表されました。10月31日公開のホワイトペーパーV2でも大まかな内容は変わらず、これまでの経緯を踏まえれば出金される期待値は極めて低いと言わざるを得ません・・・。
尚、GEMFOREXの一時サービス停止・M&A事業継承協議・買収先(GalaxyDAO)・規約違反者への対応厳格化・出金遅延に関しては下記の記事をご参考ください。
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