GEMFOREX(Galaxy DAO)
GEMFOREXは2023年5月27日に「M&Aによる事業継承の協議開始」を発表後、5月31日に一時サービス停止となりました。それから協議の結果、債務(出金遅延分)の継承・各種条件・買収金額で合意となり、8月1日にGalaxy DAOへ事業譲渡されたことになっていますが、8月15日公開のホワイトペーパーV1にて出金は行わず、その分独自トークン「GBOND」を発行すると発表されました。10月31日公開のホワイトペーパーV2でも大まかな内容は変わらず、これまでの経緯を踏まえれば出金される期待値は極めて低いと言わざるを得ません・・・。
GalaxyDAOやM&A事業継承の協議、出金遅延等について詳しくは下記をご覧ください。
GEMFOREX(ゲムフォレックス)のスリッページはどの程度なのでしょうか?デモ口座・リアル口座・他社海外FX業者(XM・Axiory・TitanFX・CXCMarkets)の約定力を測定用EAを使ってガチ比較検証してみました!
先日スプレッド調査を行いましたが、FXでは特にスキャルピングだと約定力はスプレッド以上に重要な要素だと言われています。FX業者によってはスプレッドが狭くてもスリッページしやすい場合もありますからね。しかし、約定力はスプレッドのようにMT4・MT5の気配値に表示されているわけではなく、実際にポジションを取ってみた時に体感で速いか遅いかくらいでしか確認できず、目に見えない部分でもあるのが悩ましい点ではないでしょうか?
今回GEMFOREXのリアル口座・デモ口座の比較に加え、計5社分の約定速度を測定して数値で比較してますので、具体的にどんなものなのかご参考にして頂ければ幸いです。
尚、GEMFOREXの早朝スプレッド比較・スプレッド他社比較・ゴールドのスプレッド急拡大で大騒ぎになった事件に関しては下記よりご覧ください。
FXの約定力とは?遅いとスリッページしやすい?
約定率 + 約定速度 = 約定力
まず、FXでよく言われる約定力について簡単に説明しますと、「約定率 + 約定速度 = 約定力」だとお考えください。
「約定率」:注文を出して約定(注文が成立)する確率
「約定速度」:注文を出してから約定するまでの速度
約定率は限りなく100%に近い確率じゃないと信用できないですし、約定速度はできるだけ早いに越したことはないというのはなんとなくわかるのではないかと思います。
特に、約定速度が遅いとスリッページ(想定してる注文価格からずれた価格で約定してしまうこと)が発生してしまう可能性が高くなります。スリッページが発生することで結果的に有利な価格で約定する場合もありますが、逆張りのスキャルピングでは不利に働くことが多いですし、EAの場合は同じロジックでもFX業者の約定力によってパフォーマンスが大きく変わるのが目に見えてわかります。
ちなみに、GEMFOREX公式サイトでは約定力について具体的に「全取引の99.99%が0.78秒以内」に執行されると記載があります。この数字だけ見たらなんとなくGEMFOREXってすごいな~と思ってしまうかもしれませんが、ぶっちゃけどうなのかについては次の項目で説明します。
約定力が決まる要素
では、どうやって約定力(特に約定速度)が決まるのかですが、最も重要な要素がFX業者です。FX業者によってカバー先(LP=リクイディティ・プロバイダー)の質・量が変わりますし、サーバーのスペック・場所も変わります。約定力はFX業者の選定によって最も大きく左右されます。
そして、次に重要な要素になるのが、ユーザー側の取引環境です。ご自身のパソコンからトレードされる場合はそのパソコンのスペックやインターネット環境・場所、VPSを使う場合はそのスペック・場所が重要になります。また、ユーザーとFX業者のサーバーの場所が遠いよりも近い方が約定力という点では有利に働く可能性が上がります。
GEMFOREXの約定力「全取引の99.99%が0.78秒以内に執行」はぶっちゃけどうなのか?
GEMFOREX公式サイトにはどう書いてある?
GEMFOREX公式サイトでは、約定力について具体的に下記のように記載されています。
全取引の99.99%が0.78秒以内に執行
引用元:GEMFOREX公式サイト「GEMFOREXの執行(約定)について」
当社では、低スプレッド競争には参加せず、本物の流動性提供をするべく力をいれております。
その結果、大手銀行の協力、優秀な開発陣により最高水準のディーリングシステムを開発し、意図的なリクォートは行わず、全取引の99.99%が0.78秒以内に執行を実現致しました。みせかけの低スプレッド提示とは一線を画し、理想的な環境にてトレーディングをすることが可能となっております。
是非この最高のトレード環境をお試しください。
※市場により影響する場合がございますので必ずしも保証できるものではございません。
GEMFOREXはNDD方式と主張してるはずなのにディーリングシステムを開発って一体どういうこと?という突っ込みはさておき、「全取引の99.99%が0.78秒以内」に執行されると記載されています。
果たしてこれがすごいことなのかどうかというのを同業他社のWEBサイトではどのような記載になっているのかで比較することで確認してみようと思いますが・・・
他社海外FX業者と比較してどうか?MT4右下の応答速度の違いは?
以下4社のWEBサイトでは約定力について下記のような記載になっていました(2022年9月1日現在)。
XM:「全取引の99.35%が1秒以下で執行」
Axiory:「約定率99.99%」
TitanFX:「高い約定能力」
CXCMarkets:「平均0.20sの業界最速の約定」
少なくともGEMFOREXはXMよりも約定力という点では自信を持ってると見ていいのでしょうか?GEMFOREXでは過去にゴールドでのレート誤配信事件(※)等を何度か起こしており、正直そこまでサーバーが強いイメージはないのですが(年々強化はされているとは思いますが)、これは本当にハッタリではないということでいいのでしょうか?w
ちなみに、上記のAxiory・TitanFXのWEBサイトでは具体的な約定速度の謳い文句の記載はありませんでしたが(Axioryでは実測の数値が公表されてます)、ともに金融インフラ世界最大の「エクイニクス社(EQUINIX社)」のサーバーを使っていることが公表されており、インフラが強いことが大きな特徴です。CXCMarketsも平均0.20sと記載されているだけに自信をお持ちのようです。
実際に各社のMT4右下に表示されている応答速度を比較してみます。
※同じVPS(お名前.comデスクトップクラウドの2.5GBプラン)でほぼ同時間帯でのスクリーンショットです。
Axioryがどのチャンネルを選択しても圧倒的に速く、次にCXCMarketsといった様相です。
では、肝心のGEMFOREXについてはデモ口座・リアル口座(ともにオールインワン口座)の両方を確認してみます。
リアル口座はXMよりも遅く、デモ口座はTitanFXと同じくらいの水準でしょうか?勿論VPSの位置やスペックによっても変わってくるので、一概には言えないかもしれませんが・・・
尚、MT4右下表示の応答速度はあくまで見かけ上の数値であり、実際に注文した時の速度というわけではありませんので、今回上記の他社を含めた計5社と、GEMFOREXについてはデモ口座・リアル口座の両方(デモ口座の方が約定力高いのではとよく言われていることを確認する為)で実際に約定速度を計測し、ガチ比較検証をしていきたいと思います。
GEMFOREXの約定力(約定速度)を徹底検証!デモ口座とリアル口座、他社との違いは???
比較検証の前提条件:LatencyEAで計測
今回のGEMFOREX他5社の約定力比較検証は下記のような条件で実施しました。
※1 実はGEMFOREXのロースプレッド口座も検証対象だったのですが、調査用EA(LatencyEA)が動作せず、計測できませんでした。他社のECN口座は普通に動作したのですが、通貨ペア名の後ろにfxがついてることがEAの動作しない要因なのでしょうか?
※2 LatencyEAは下記取引履歴をご覧の通り、0.01ロットで買いの指値注文(buy limit)を入れてからすぐに注文キャンセルすることを一定時間毎にひたすら繰り返すEAです。
この一定時間は初期値だと5分ですが、パラメーター設定での変更も可能です。
この指値注文→キャンセルまでの時間が計測されるのですが、下記の通りMT4右上で最大・最小・平均約定速度(Maximum Latency/Minimum Latency/Average Latency)が表示されます。
※3 本当は全部同時に計測するのが望ましいのですが、VPSのリソースが限られてるので1日1業者ずつ計測することにしました。
※4 本当は1業者毎に1週間くらい稼働しっぱなしにして計測してみたかったのですが、GEMFOREXでLatencyEAを1日稼働しっぱなしにしたら該当の口座が凍結されてしまった為(EA稼働を止めて入金することで復活済みですが)、今回EA稼働しっぱなしにするのは1日までとしました。
比較検証結果:デモ口座・リアル口座・他社の違いは?
下記がGEMFOREXのデモ口座・リアル口座を含めた計5社分の約定力比較検証の結果です。
※単位:ミリ秒(milliseconds)
早朝 | 1日 | 早朝 | 1日 | 早朝 | 1日 | ||
GEMFOREX デモ口座 | EURUSD | 265 | 250 | 313 | 391 | 288 | 287 |
GBPNZD | 250 | 250 | 359 | 359 | 283 | 288 | |
GEMFOREX オールインワン口座 | EURUSD | 328 | 312 | 359 | 437 | 335 | 339 |
GBPNZD | 312 | 312 | 391 | 406 | 341 | 341 | |
XM Standard口座 | EURUSD | 359 | 328 | 469 | 500 | 400 | 405 |
GBPNZD | 343 | 328 | 453 | 2063 | 398 | 409 | |
XM Zero口座 | EURUSD | 359 | 328 | 438 | 500 | 402 | 403 |
GBPNZD | 360 | 312 | 437 | 500 | 399 | 404 | |
CXCMarkets Standard口座 | EURUSD | 109 | 109 | 234 | 1438 | 154 | 207 |
GBPNZD | 109 | 93 | 281 | 1157 | 161 | 213 | |
CXCMarkets ZERO口座 | EURUSD | 218 | 94 | 281 | 797 | 252 | 242 |
GBPNZD | 204 | 93 | 328 | 1469 | 248 | 249 | |
Axiory スタンダード口座 | EURUSD | 219 | 125 | 313 | 500 | 272 | 268 |
GBPNZD | 203 | 109 | 344 | 500 | 253 | 271 | |
Axiory ナノ口座 | EURUSD | 203 | 125 | 282 | 594 | 251 | 266 |
GBPNZD | 204 | 93 | 297 | 860 | 244 | 266 | |
TitanFX スタンダード口座 | EURUSD | 219 | 218 | 297 | 860 | 260 | 282 |
GBPNZD | 218 | 219 | 313 | 860 | 269 | 280 | |
TitanFX ブレード口座 | EURUSD | 234 | 218 | 297 | 829 | 265 | 277 |
GBPNZD | 234 | 234 | 328 | 875 | 270 | 279 |
比較検証から確認できたことまとめ
- GEMFOREXのデモ口座 VS リアル口座は、やはりデモ口座の方が約定速度が早い。
- 5つのFX業者の中で、早朝(6~7時)でも約定速度は殆ど変わらない。どの時間帯で計測しても恐らく平均速度は大して変わらなそう。
- 5つのFX業者の中で、STP口座とECN口座の約定速度は殆ど変わらない。
- 5つのFX業者の中での約定速度を比較:CXCMarkets < Axiory = TitanFX ≦ GEMFOREXデモ < GEMFOREXリアル < XM
まず、率直な感想として、思ってたよりも各社で平均速度に差が出なかったですねw MT4右下の応答速度も結局は見かけ倒しで、実際にはそこまで当てにならないということでしょうか?
GEMFOREXのオールインワン口座は最大速度が437ミリ秒でしたので、確かに0.78秒以内には収まってますね(あくまでこの検証中はですが)。他の業者と比べても最大速度の数値が結構低めで、わりと安定してるようにも見えます。平均速度はやや高めですが、実はそこまで大きな差はないんですよね。
尚、GEMFOREXでは約定速度がデモ口座>リアル口座なのが確認できましたので、朝スキャEA(eagle blizzard α・swallow blizzard)のミラートレードのフォワード用口座がデモ口座であることを考えると、パフォーマンスがミラートレード>EAなのもある意味納得ですね。
また、CXCMarketsのStandard口座が一番平均速度が早いという結果(最大速度が大きめなのが少々気になりますが)になりましたが・・・ということはeagle blizzard CXC/World CXCを稼働させることはわりと理にかなってるということになりますねw
ちなみに、今回の検証で使用したVPSはお名前.comデスクトップクラウドの2.5GBプランですが、もっとCPU&メモリーがハイスペックの上位プランにするか、もしくは別会社のVPSの環境を利用したら約定速度が上がる可能性があります。
もっと約定力高い環境を求めたいという方は、上記の検証結果を参考にしてVPSの業者・プランの選定について検討されてみてはいかがでしょうか?
以上、GEMFOREX他の海外FX業者の約定力について少しでもお役に立っていれば幸いです。
2023年11月9日(木)更新
GEMFOREXは2023年5月27日に「M&Aによる事業継承の協議開始」を発表後、5月31日に一時サービス停止となりました。それから協議の結果、債務(出金遅延分)の継承・各種条件・買収金額で合意となり、8月1日にGalaxy DAOへ事業譲渡されたことになっていますが、8月15日公開のホワイトペーパーV1にて出金は行わず、その分独自トークン「GBOND」を発行すると発表されました。10月31日公開のホワイトペーパーV2でも大まかな内容は変わらず、これまでの経緯を踏まえれば出金される期待値は極めて低いと言わざるを得ません・・・。
尚、GEMFOREXの一時サービス停止・M&A事業継承協議・買収先(GalaxyDAO)・規約違反者への対応厳格化・出金遅延に関しては下記の記事をご参考ください。
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